本人目線の、アダルトチルドレンの成長と回復 How did I recover from adult children scientifically

AC(アダルトチルドレン)の私が、自助グループで話しているようなこと(そのまま同じじゃないです)を、お伝えします。

第15回 自己評価

ACの「自己評価」というと、「低くて問題だ」とされることが多いように思います。「高けりゃいいのか」というとそれも違う気がします。じゃあ一体どういうのが自己評価として妥当なのかというと、あんまり示されていないような気がしていたので、わたし自身がどんなふうに「自己評価」というものを理解しているのかを紹介します。

健康な人の場合、自己評価は成長して大人になるにつれて自分でできるようになる、ということがたしか自助グループの本に書いてありました、あるいはアダルトチルドレンの本だったかな。実際そうだと思います。わたし自身だんだんそういうことができるようになっていて、成長を感じているからです。

私の場合、以前は自己評価というと、ほとんどの場合、自分を貶すことしかできませんでした。自分の能力や特性というのを考慮して判断することはまったくできなかったのです。「こうあるべきだ」という理想だけを自分に押しつけ、その結果ただただ自分に厳しく自分を叱るだけでした。その後、自分を褒める練習をした結果、「俺、スゴイ」とやたらに自分をスゴイと思うようにもなったけれども、でもこの無根拠の「俺スゴイ」はやっぱり自分を混乱させるだけだった気がしています。

現在は全く違うやり方で自己評価を行っています。
例えば、わたしは登山が趣味なのですが、重さ10キロのザックを担いで自分は一日にどのくらいの距離をどのくらいのペースで歩けるのか、ということの見当がつけられます。これは、登山の計画を立てるときに分かっている必要があることなのです。能力を遙かに上回るような計画を立ててしまうと怪我や遭難につながるからです。あんまり簡単だとつまらないですし。今のわたしが行う自己評価というのは、こういう具体的なものです。実際的な能力の把握を「自己評価」と呼んでいるわけです。

いつでもこういう経験に裏付けされたしっかりとした自己評価が出来るわけじゃないけれど、意味のある自己評価というのはこういうものだと理解していて、自分を評価する時にはこういうものに近づけようと意識しています。たんに「俺はスゴイ」とか「俺はだめだ」と酔いしれることは、自己評価とは言いがたい、いっときの気分なのです。

自己評価というのは、目標とかに対して「今の自分はどれだけの能力を持っていて、達成にはどのくらい足りないのか」ということを知るための目安であって、「いい」「わるい」というだけの単純なものではありません。

 まあ、いまだって「俺はすごい」とか「くそだ」とか感情的になって囚われて身動きできなくなることはあるけれど、かなり切り換えられるようになっています。それは瞑想の効果だと実感しています。毎朝30分くらい朝に瞑想をしていることで、落ち着いた気分の自分というものを強化して、一時混乱しても落ち着いた自分に戻りやすくなっているのでしょう。「そういうこともあるよね」とか「嘆いてもクソのたしにもなんねーな」とか思って、落ち着きます。

さて、私が自分の回復をどう評価しているかというと、以前のわたしは、「自分以外全員敵」という感じ方を拭えなかったし、人と打ち解けるなんて出来なかったし、そういう精神状態がそもそも存在しませんでした。でも今は友人と遊んだり、思いやりや気遣いで人と関わることができています。180度生き方が変わっていて、そうなりたかった方向に向かっているし、こうした人間関係を築くことが自分にとってひどい負担になってなにか依存物に手を出すとか精神的に不安定になるということもなく、まるで普通のことのようになっています。それはこれまで回復に努めてきたことが方向性として間違っていないということなんだと思っています。これが私の、回復について現状での自己評価です。

こういう自己評価はとても大事だと思います。方向がおかしかったら修正する必要も出てくるし、「自分はこれで本当に大丈夫だろうか?」と疑問を抱いたら、それについて知人や医者に尋ねることもあります。

そんなわけで、ちゃんとした自己評価というのは自分の現状を知る上で役立つものなのです。ただ、自分で自分をきちんと評価するというのは誰にとってもかなり難しく、ACであればなおさらで、自分以外の評価軸に頼る必要もあります。また、わたしはACとしての偏った評価軸以外の評価軸を自分の中に創るために、たくさん小説を読んだり、心理学やらアダルトチルドレンについての本を読んだり、それもかなり専門的で信頼が置けると思える本を読んで、自分のことを正直に書いたり話したりすることにも努めて、自分の現状を把握するようにしてきました。

現状を把握することで、回復へのモチベーションを維持しやすかったり、漠然としている回復の筋道というのがある程度把握できてきます。自分が歩いてきた道を見通すと、なんとなくこれから先にある課題も見えてくるわけです。「ACとして残っている課題はこれだな」という具合に。自分なりの回復の地図が持てるわけです。それはとても心強いです。