本人目線の、アダルトチルドレンの成長と回復 How did I recover from adult children scientifically

AC(アダルトチルドレン)の私が、自助グループで話しているようなこと(そのまま同じじゃないです)を、お伝えします。

第45回 苦しんでも泣いても優しくも強くもならない

ときどき流行歌の歌詞に「泣いた数だけ優しくなる」「強くなる」みたいな趣旨の歌詞が見られるし、それは、美化された苦労話として比較的受け入れられている考え方だと思うのです。 子供の虐待についていうと、子供が苦しんでも泣いても強くも優しくもならな…

第44回 子供の幸せを願わない親はそれなりにいる

ストレートに言いますが、「子供の幸せを願わない親なんていない」というクソみたいな神話(というか、ファンタジー)は早くなくなって欲しいです。 物事をよりよい方へ進めようとするなら、現実をきちんと認識して対処する必要があるのですが、この神話(と…

第43回 安心できる場で内面を表現して、受け入れてもらうこと

「心的外傷と回復」を読んで以来、私はずっと、「回復に際して、言語能力が低いとすごく不利になる」と考えていました。もっというと、言語化できないと回復はできないと思うくらい、回復に言語化は必須と信じていました。以前書いた記事の中でも、言語能力…

第42回 「トラウマ」は存在する

ちょっと前になるけれども、アドラー心理がブームになったことがあった。わたしはその著書を読んだわけではないけれども、気になる主張があった。アドラー心理学においては「トラウマ」というのが否定されているらしい。 でもその主張はナンセンスだ。トラウ…

番外編 重度障害者国会議員への批判について

先の選挙で、れいわ新撰組から立候補していた重度障害者のお二人が当選しました。 そしてお二人は、介助がなければ議員活動ができないので必要な補助を認めるよう国に求めました。 この二人の主張に対して、現職の政治家からのものも含め多くの批判が発信さ…

第41回 セルフネグレクト

このところ仕事が忙しくて、ブログに触れることがまったくありませんでした。自助グループにはかろうじて顔を出している程度の参加しかできず、あんまりよろしくない状態です。 そんな日々を送っているので、仕事を終えて自宅に帰って来ると完全に電池が切れ…

第40回 ACとして「まとも」に生きるとは?

このブログで何回か書いてることですが、世間から見て「おかしい」とされるACの特徴は「知らないことだからできない」とか「環境に適応した学習の結果」であったりします。それは病気とは違って、人として正常な成長の結果で、むしろ道理にはかなっていて…

第39回 感情はいつもすぐ隣にあった

自分の気持ちが分からない(そもそも十分に感情が発達分化していなかった)、認められない状態が長く続いてその影響下で生きてきたわけですが、回復するにつれていくつもの自分の感情と出会いました。 そして、自分の感情と出会ったとき毎回思うのは「なんだ…

第38回 やりたいことをやりたくないことよりやれない

前回の内容と通じる話ですが、タイトルの通り、私、やりたいことをやりたくないことよりやれませんでした。そして、今もけっこうそのことで苦労しています。 例えば、まず、やりたいことを思い描くのが難しかったです。子供の頃はそうでもなかったのですが、…

第37回 ポジティブな感情をエネルギーにすること

って、難しい。ずっとできなかった。少しずつできるようにはなっているけども。 ネガティブな感情をエネルギーにして生きることは出来てたけど、その逆はやったことがなかったから長いことできなかった。いや、でなかったわけではないな、子供の頃は出来てい…

第36回 宣言と開放

先日のことですが、私は母親に下記のような宣言をしました。 宣言というと、強く言ったみたいですが、普通のトーンで普通に話しました。 「俺は、『姉に刺身包丁で追いかけられた』とか、大人になってからそのことで当人に怒ったら『お前なんかあのとき死ん…

第35回 回復のプロセスを旅に例える

回復のプロセスはよく「長い旅」に例えられます。 これについてふと思い付いたことなのですが、旅は旅でも、「アルパインクライミング」みたいだなと感じました。 バイクや自動車でのツーリングや、豪華客船でのクルージングでも、観光地への物見遊山でもな…

第34回 アダルトチルドレンを「卒業した」とか「元AC」とかいう表現について思うこと

ときどきブログとかで「ACを卒業」や「元AC」という表現を見かけます。 どれだけ回復にとりくんできたのだろうかと興味を持って目を通すと、問題に取り組んで数年程度(3年とかせいぜい5年とか)のことが多いです。 これについて私がどう感じているのか…

第33回 多重人格が生じる仕組みについて

第25回と記事で人格の仕組みについてお話ししました。 そして第31回の記事で、人格には許容量があるということや、トラウマがどういう形で精神に食い込むのかについても、お話ししました。 これらを組み合わせると、多重人格の発生する仕組みが大枠で説…

第32回 ACとして生きることの辛さをお金で表してみる

ACとして生きることは、結構しんどいです。 そしてこの辛さは、ACでない人にはわからないと思われがちです。 まあ、目に見えないですし、メジャーとか秤で測れませんしね。 そこで、どうすればACでない人にACの辛さが伝わるだろうか? とちょっと考…

第31回 人格の許容量

人格には、受け容れられる限界、許容量のようなものがあります。 それを超えたり、無視したり、むりに受け容れようとすると参ってしまったり、いろいろ不具合が出ます。 受け容れられる限度は人それぞれだし、種類も様々です。ある人にとってはストレスフル…

第30回 ACとして身に付けた能力

「アルコール依存症者の子どもたち」という、AC研究の先駆けとなった本で、著者のJ・G・ウォイティッツ氏は「ACの問題は、基本的には情報の不足だと思っている」というふうに書いています。 この本はすばらしい本なのですが、これだけだと片手落ちの理…

第29回 ストレスによる健忘発症の仕組み

わたしが健忘で苦むようになったのは22歳の頃で、死にたがっていた自分の子ども時代を思い出して書き出したのが契機でした。 当時大学生だった私は、時間の取れる今のうちに子ども時代の問題を片付けたいと、躍起になって昔のことを思いだして書き出していま…

第28回 愛着形成による人格生成について

子どもが健康な精神発達を果たすためには幼児期の愛着形成が重要だ、ということは発達心理学であったり、あるいはACの本にも書いてあったりするのですが、それがどんなふうに人格発達に寄与しているのか内的な仕組みはどうやら概念化されていません。 と思…

第27回 トラウマ記憶は凍らない

トラウマ記憶について「凍り付いた記憶」と表現されることがよくあります。専門家が書いたものでも、そんなふうに載っていたり、あるいは実際にそのような固定したものとして理解やら説明をされていたりします。 でもこれ、完全に間違いです。 現実のトラウ…

第26回 頭と心と体を一致させる

第8回の記事で「頭と心と体がバラバラとはどういうことか」ということで、ばらばらな状態について説明しました。 今回は、私が「頭と心と体を一致させる」ために役立った体験についてご紹介します。 はじめに断っておきますが、このやり方は私個人に合って…

第25回 人格について

ACからの回復とは関係ないと思われるかもしれませんが、人格というものについて私なりの考えをお伝えします。 ACの回復に関する本で「そもそも、人格とはどんなものか」ということが扱われることはまずありません。実際の所はこのよくわかっていないものが…

第24回 白黒思考

今回は、ACの性格的な特徴としてよく挙げられる白黒思考について話します。原因はいくつかあると思います。 まずは、強い感情に慣れていることです。恐れとか、怒りとか、そういう強い感情に慣れていて、ささやかな感情に疎い。第11回で、「濃い味付けに慣れ…

第23回 回復に時間がかかるわけ

回復には時間と根気が必要です。 地盤沈下した住宅を引き上げて手入れをして快適に住めるようにするには、もしかしたらスコップのひと掻きから始まるかもしれませんが、そういう地ならしみたいなのから始めるしかなくて、時間がかかって手間もかかって疲れる…

第22回 落ち込んでない状態に慣れる

このブログの第9回で「気分転換は難しい」、第20回では「回復したくない気持ち」というのを書いてますが、それとも関連するテーマです。 わたしにとって「落ち込んでいない状態に慣れる」ってのは、結構難しい課題でした。 幼い時から「死にたい」と思ってい…

第21回 ACと依存症と欠陥住宅

ACの問題って複雑でどうやったらわかりやすく伝えられるんだろうと結構長く思っていたのですが、前回の記事を書いている時に「欠陥住宅」の例えがうまくはまることに気付きました。 正直、ACを欠陥住宅に例えるってのは、わたしにとってもそうですが、また…

第20回 回復したくない気持ち

回復するのが億劫な気持ちというのはすごく強いです。 変わりたくない、という気持ちもすごく強く表れます。 私は毎朝、自助グループの本を数ページ読んでからその日を始めることを習慣にしていますが、身につくまでものすごく時間がかかりました。 毎朝、忘…

第19回 虐待に対する社会的な無関心を嘆いても問題は解決しないので社会にあまり期待せずお互い頑張りましょう!

第18回の記事を書いていて気付いたのですが、自分がACであるという自覚、おかしな家庭で育っているという事実を認識することが、回復以前に必要です。当たり前なんですけど。 私はたまたま中学に上がる頃、図書館で読んだ心理学の本からACの知識を得まし…

第18回 若いうちに回復するに越したことはない

これは、身も蓋もない事実です。タイトルの通りですが、若いうちから回復に手を付けるに越したことはありません。 ACの回復の本にはこういう基本的な事実が書いてなかったりします。 「回復に取り組むのに遅すぎるってことはない」ということは書いてあっ…

第17回 「イノセントな子ども時代」や「甘酸っぱい青春」はほとんどないけれども生きてます。

私にはイノセントな子ども時代というものはありません。 あるいは、純粋に[死にたがっていた」のがイノセントさと言えなくもありませんが、そんなふうにいってもあまり意味はないでしょう。「イノセント」には、「何に思い悩むこともない幸福な子ども時代」…